産後特別食 『鴨汁の三色そうめん』

 こんにちは。管理栄養士の横道友理子です。
 日中は日差しが強く、汗ばむほどの暑さです。これから冷たいお蕎麦やおうどん、冷麺が美味しく感じられますね。
 先日は、産後患者様の昼食で『鴨汁の三色そうめん』をご提供しました。三色はそれぞれ、緑がオリーブ、赤がしそ、黄色がレモンと、色鮮やかで涼しげな雰囲気を醸し出しています。
 
〈鴨汁の三色そうめん・帆立あんの洋風茶碗蒸し・蛸と胡瓜の酢の物〉

 そうめんは、彩りだけでなく原材料にもこだわりました。産地は瀬戸内海・小豆島。江戸時代より伝わる独特な製法で作られ、麺作りの職人が丁寧に仕上げた”手延べそうめん”です。
 口に入れると、つるっとした滑らかな口当たりと、コシの強さ、もちもちした弾力が感じられます。色によって風味や食感が違うのも、食べる楽しみでもありますね。

 緑のオリーブは、生地に小豆島産のオリーブ果実が練りこまれ、表面に純粋オリーブオイルが塗られています。オリーブの香りは控え目ですが、クセのないさっぱりした味で、あとのひく美味しさです。
 オリーブオイルは、オレイン酸ポリフェノール、スクワラン、ビタミンEが含まれ、健康と美容に良い点で有名です。摂りすぎは良くありませんが、食事の中に適度に入っていれば、血中コレステロール値の減少や、腸を刺激して便秘改善に繋がります。
 赤い色のしそは、口に入れた瞬間、上品な酸味と香りがふんわり広がります。しその味もほのかにし、そのままでも(又は薄いだしでも)食べられそうなお味です。
 黄色のレモンは、レモンエッセンスが入って爽やかな涼味がとっても新鮮。黄色が入ると、優しい印象になります。
 
 召し上がった患者様は、「オリーブなんて初めて!」「これはどんな味がするのかな?」「すごくきれい〜!」などのお声をくださり、それぞれを目と舌で味わってくださいました。
 
 めんつゆでさっぱり食べるのも良いですが、鴨の出汁が効いた鴨汁そうめんは、コクと深みがあり、また別の味がお楽しみいただけます。
 鴨肉は、高たんぱくで低脂質。肉の中でもヘルシーなのが特徴です。脂質については、不飽和脂肪酸の含有率が高く、DHAに換わるα-リノレン酸が豊富に含まれます。また、ビタミンB1、B2が多いので、体内で脂肪燃焼を促します。ビタミンB1は、糖質をエネルギーに変える働きがあり、疲労回復に効果的。糖質の多いそうめんと一緒に食べるのは、理にかなっているのですね。トッピングに葱を添えれば、葱に含まれる辛み成分(アリシン)によってビタミンB1の吸収が促進し、より効果が発揮されやすいです。  


 副菜には、『帆立あんの洋風茶碗蒸し』、『たこと胡瓜の酢の物』の2品をお付けしました。
 
『帆立あんの洋風茶碗蒸し』

 コンソメだしをベースとした、洋風味付けの茶碗蒸しです。中にはブロッコリーやカリフラワー、ミックスビーンズなど、野菜や豆がごろごろ入って食べ応えも十分。上には帆立の旨みが詰まったあんをかけ、とろりとした口当たりでほっとする美味しさに。


『たこと胡瓜の酢の物』

 コリッコリのたこと、お酢がさっぱり効いた胡瓜は相性が抜群です。お酢に含まれるクエン酸は、脂肪燃焼や血糖値の上昇を抑えたりと、ダイエットにも嬉しい効能を持っています。

 これからの時期、暑くて食欲がでなかったり、妊婦さんはつわりで食事摂取が難しい場合もありますね。そんな時、喉越しが良く胃に負担をかけないそうめんはおすすめです。
 ただ、消化が良い分糖質の吸収が早いので、血糖値が高めの方は注意が必要です。麺が細いので早食いになりやすく、太る原因にも繋がります。
 時間をかけて、ゆっくり食べること、また、今回のように鴨肉や他のおかずを付ければ、肉のたんぱく質、野菜の食物繊維が合わさり、血糖値の上昇が穏やかになります。そうめんのみの方がヘルシーに思われがちですが、たんぱく質や脂質、食物繊維と同時に摂ることで、急激な血糖上昇が抑えられるのです。

 鴨汁のそうめんのレシピはこちらです。
【材料 4人分】
オリーブ素麺(乾)100g
レモン素麺(乾)100g
しそ素麺(乾)100g

鴨肉 120g 
だし汁 600g
薄口醤油 14g
塩 1.6g
葱 80g

【作り方】
(つゆを作る)
1.鍋にだしと調味料(薄口醤油、塩)を入れる。
2.2の中に鴨肉(ブロックのまま)を入れて煮込み、一晩置く。

(そうめんを茹でる)
1.大き目の鍋で沸騰させた湯の中に素麺を入れる。
2.再沸騰したら、ふきこぼれない程度に火加減を調整する。
3.茹で上がった麺をザルにあけ、水で粗熱をとりよくもみ洗いする。
*約2分で茹で上がります。茹ですぎに注意してください。

(仕上げる)
1.鴨肉は、薄くスライスする。
2.器につゆをそそぎ、1の鴨肉入れる。
お好みで、ネギや三つ葉などトッピングしてお召し上がりください。

 鴨肉でなくても、鶏や豚、牛肉でも代用できます。夏に向けて、元気の出る”スタミナそうめん料理”、ぜひ作ってみてくださいね!