ナトリウムの話

 こんにちは。管理栄養士の横道友理子です。
 一気に暑さが増してきましたね。あっという間に夏がやってきそうです。

 減塩食に力を入れているアルテミスでは、塩分の量に敏感です。皆さんはお食事をされる際、塩分を気にされたことはありますか?
 何気なく使っているサラダのドレッシングやソース類、加工食品というのは、塩分を多く含みます。
 
 減塩する為にまず出来ることは、食品を購入する時に栄養表示欄を確認すること。裏を見ると、カロリー、たんぱく質、脂質、炭水化物とあり、最後にナトリウムの記載がされています。最近では、食塩相当量が書かれている場合が多いです。この食塩相当量ですが、ナトリウムと一体何が違うのでしょうか?

 私達が普段料理で使う食塩は、塩素とナトリウムが結合したもので”塩化ナトリウム”と言います。摂りすぎて血圧を上げてしまうのは、ナトリウムの方です。
 このナトリウム。食塩以外にも、実は多く潜んでいます。
 例えば、グルタミン酸ナトリウムをご存知でしょうか?旨み調味料として広く使用され、食品の表示欄には『調味料(アミノ酸等)』と表記されます。

 加工食品には、特に多く含まれます。グルタミン酸ナトリウムの他には、イノシン酸ナトリウムやグアニル酸ナトリウムなどがあり、これらはナトリウム塩と言われています。
 かん水を使う即席めんには、炭酸ナトリウムが含まれます。カップ麺をよく食べる方は、炭酸ナトリウムの摂取が多いことになりますね。
 その他、食材そのものにもナトリウムは存在しています。海の生き物である魚は勿論、肉や大豆、野菜や果物にも微量ですが入っています。
 
 このようにナトリウムは、生の食品から調味料など、色々なものに含まれていることがわかりますね。逆に言うと、加工食品に頼りがちな方は、摂りすぎ傾向と考えられます。
 そこで、ナトリウムの摂りすぎを防ぐ為の第一歩として、食品の裏の表示を見ることが大切になってくるのです。


食品の裏に、このような数字が記載されていますね。ナトリウムとは、今お話ししたように食品から由来するもの、加工食品などに含まれる、〜ナトリウム(ナトリウム塩)から由来するものがありますが、これら全てのナトリウム総量を、塩化ナトリウム(食塩)に置き換え、『食塩相当量』とします。


 ナトリウムを食塩に置き換える方法は、以下のような式で計算ができます。

    ナトリウム(mg)×2.54÷1000=食塩相当量(g)

 ナトリウムは原子です。原子量は22.9898。塩化ナトリウム(食塩)は塩素とナトリウムが結合した分子なので、分子量は58.4428です。58.4428÷22.9898は、2.54。つまり、ナトリウムを2.54倍すると塩化ナトリウムの量になるということです。上の写真にもありますように、ナトリウムが309mgの場合、2.54倍して1000で割ると、0.8gの食塩相当量になることがわかりますね。
(ナトリウムがgで表示されている場合は、1000で割る必要はありません。)
 
 一昔前までは、ナトリウムのみの表示しかされておらず、食塩相当量は書かれていませんでした。ですが、高血圧予防を目的として、”食塩”の摂取量が把握しやすい形にした方が良いと考え、ナトリウムとセットで記載されるようになりました。
 
 ここまで話してくると、ナトリウムは敵のように受け止めてしまいそうですが、実は私達の体に必須の栄養素。ナトリウムが不足すると、水分や糖分を上手く吸収できません。脱水症の場合は、水分と同時にナトリウムの摂取が必要です。
 では、生きていく為にどのくらいのナトリウムが必要なのでしょうか・・・。
 
 それは、600mg。(食塩相当量で1.5g)
 ですが、1.5gなんて塩一つまみくらいです。3食の食事の中でこの量にとどめるのは、至難の業。というより、無理ですよね。ナトリウムを制限云々の前に、餓死してしまいます。
 なので、これはあくまで最低限の必要量と考え、実際はもっと摂って大丈夫です。厚生労働省の食塩目標量では、女性の方が7g未満、男性の方は8g未満としています。実際この量でもかなりの減塩になりますので、もともと過剰傾向の方は、まず10gを目標にされても良いかと思います。
 また、『自然塩』を使うのも減塩に効果的です。自然塩とは、海からくみあげた海水を天日で乾燥させたもので、ナトリウムの他にカルシウムやマグネシウム等のミネラルを含みます。精製された食塩は、塩素とナトリウムの結合した塩化ナトリウムのみなので、自然塩に比べナトリウム量が多くなります。食塩100gあたり、自然塩と精製塩では、ナトリウム1000mg(食塩相当量で約3g)も違うのです。味もまろやかになり、料理をより美味しくさせるのでお勧めですよ。
 
 減塩と言われても、ただ薄味にするだけでは美味しくありません。ちょっとした工夫で、ぐんと味が広がります。
 『美少塩』を謳っているアルテミスのお食事は、調味料にこだわっています。旨みとコクをアップさせる醤油麹や塩麹、レモンのさっぱりした酸味とほのかな甘みを感じさせるレモン塩。その他、原材料の厳選された『松田のマヨネーズ』や『無添加味噌』などを使用し、素材本来の味をそのまま料理に取り入れることで、自然な美味しさを引き出しています。
 
 皆様も加工食品などに頼らず、なるべく無添加のものでお料理されてみてはいかがでしょうか。
 そして、食品を購入する際には栄養表示欄の”食塩相当量”をチェックをしてみてくださいね