正月料理 『七草粥』と『お汁粉』

 こんにちは。管理栄養士の横道友理子です。
 早いもので、お正月3が日から1週間が過ぎました。アルテミスでは、元旦のおせち料理の後、七草粥にお汁粉と、正月料理が続きました。
 七草粥は1月7日の朝食に、お汁粉は1月11日のおやつにご提供しましたので、こちらでご紹介していきますね。

七草粥』 

 蓋を開けると、七草のさわやかな香りが湯気とともに漂います。お米から炊いたお粥はふっくらとろとろ。程よい塩加減で、ほっとする美味しさです。召し上がった患者様からは、「クセがなくて食べやすかった。」「優しい味付けで美味しかった。」などの感想を頂き、皆様完食してくださいました。

 七草粥は「正月にご馳走をたくさん食べ、疲れた胃を休めるために食べる」と言われることが多いですが、本来は、中国から伝わった「人日の節句」という五節句の行事の一つです。人を大切にする意味をもつ「人日」には、七種類の野菜を入れた汁物「七種菜羹(ななしゅさいのかん)」を食べて、無病息災を祈っていました。
 一方、日本では雪から出た若菜を摘み、自然界から新しい生命をいただく”若草摘み”という風習がありました。それが人日の節句と混ざり、七草粥が食べられるようになったようです。
 
 
レシピはこちらです。
【材料】2人分
米  2/3合(100g)
水      1ℓ
春の七草 2パック
塩     1.0g
白ごま   1.0g

【作り方】
(お粥を炊く)
1.米と分量の水を鍋に入れ、煮立つまで中火、煮たってきたら弱火にする。
2.途中、しゃもじで底の方を混ぜ、蓋を少しずらして40分ほどコトコト炊く。

(七草を茹でる)
1.鍋に湯をわかし、塩(分量外)を加える。
2.大根と蕪を茹で、柔らかくなったら取り出し冷ましておく。
3.葉物類は、すずななどの太い茎の部分から入れていき、続いて残りの七草をさっと茹でる。
4.ざるにあげて冷水にとり、軽く絞って粗く刻む。

(仕上げる)
1.お粥が炊けたら、塩1gを加え、七草を入れて軽く混ぜる。
(お好みで、白ごまをふりかけると風味が出て美味しいです。)


 七草の種類は、その時代や地域によって異なりますが、セリ・ナズナゴギョウハコベラホトケノザスズナスズシロが一般的です。日本のハーブとも言われ、それぞれしっかり効能があり、滋養強化に優れています。

春の七草

 それでは、七草の効能についてご紹介します!

『セリ』

カルシウム、ビタミンA,B,Cを含みます。解毒作用があり、古来より健胃生薬ともいわれています。

ナズナ

 食物繊維やビタミン類の他、カリウムを多く含むのでむくみ予防に効果的です。

ゴギョウ

 葉や茎に白い綿毛があり、舌ざわりが悪いので食用では不向きとされますが、お粥の中に入れれば美味しく召し上がれます。咳止め・利尿作用があるとされ、お茶として飲まれることも多いです。

ハコベラ

 利尿効果、止血作用があり、汁で歯磨きすると歯にも良いと言われています。あまりアクがないので、お浸し、和え物、バター炒めにしても美味しいです。

ホトケノザ

 解熱、鎮痛作用があり、歯痛どめに効果的です。

スズナ』(蕪)

 葉にはカルシウム、鉄分、ビタミンA,C,Kが多く、根にはでんぷん分解酵素が多く含まれます。胃が重たい時などの消化を助け、精神を穏やかにする働きもあります。

スズシロ』(大根)

 冬の健康食材の代表です。蕪と同様、ビタミン類や消化酵素を含むので、胸やけや胃もたれに効果的です。辛味成分であるイソチオシアネートには、代謝促進や抗酸化作用が期待されます。

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『鏡開き〜お汁粉〜』

 こんがり焼けたお餅は、箸で伸ばすと長〜く伸びます。弱火でコトコト煮たことで、小豆の粒はふっくら柔らかく仕上がりました。甘くて熱々のお汁粉は、授乳などの疲れを癒してくれますね。

 お正月の間、年神様の居場所になっているのが鏡餅。そのため、年神様がいる松の内の間は飾っておき、松の内が過ぎたら下げて食べ、年神様をお送りします。年神様の依り代(よりしろ)である鏡餅には年神様の魂が宿っているとされるため、鏡餅を食べることでその力を授けてもらい、1年の家族の無病息災を願うと言われています。
 また、鏡開きはもともと武家から始まった行事なので、鏡餅に刃物を使うことは切腹を連想させるので禁物でした。そこで、手か木槌などで割ることになりましたが、「割る」という表現も縁起が悪いので、末広がりを意味する「開く」を使って「鏡開き」という名前で風習化されたようです。
 
 栄養素として、小豆の主成分は糖質ですが、ビタミンB1が多いのでエネルギーに変換されやすいです。食物繊維も豊富なので、便秘ぎみの方にはおすすめですよ。また、小豆の煎じ汁は塩分を排出するカリウムや、血液の循環をよくするサポニンを含むので、むくみ予防に効果的です。
 寒いと血液の循環が悪くむくみやすくなります。お汁粉に限らず、小豆の入った蒸しパンや小豆茶などで、おやつとして召し上がっても良いですね。