妊娠中の栄養について 〜食事バランスガイド〜

 こんにちは。管理栄養士の横道友理子です。
 5月も今日で終わり、梅雨の時期がやってきますね。雨が降ると道も滑りやすいので、妊婦さんは特にお気を付けくださいね。
 
 さて、今回も前回に引き続き、『妊娠中の栄養』についてお話します。前回は、3つの食品の意味や役割についてご説明しましたが、実際にどのくらいの量を食べたら良いか、というのは曖昧でしたね。
 そこで今回は、簡単に適正な量を摂取できる方法をご紹介します。

 その方法とは・・・

 『食事バランスガイド』です。難しそうに見えますが、実はとっても簡単!カロリー計算も不要で、日常生活に手軽に取り入れられます。 ポイントは、『3つの食品』を料理レベルで考えていくことです。
        
           
  
 この食事バランスガイド、コマの形をしているのがわかりますか?コマは、バランスが良くないと上手く回りません。食べた量を数字で表し、その数字の合計数がコマの中で綺麗に埋まることでバランスが保たれます。数字は、1つ、2つと「〜つ」で数えていきます。
 
 「数字で表すって、どういうこと?」と疑問に感じますね。 下の表をご覧下さい。コマの色別に、主食、副菜、主菜、果物、牛乳・乳製品という5つのグループに別れています。それぞれのグループを「〜つ」で数えますので、例えば主菜をたくさん食べる為に副菜を減らすということは出来ません。



 
 
 下の図のように、数字の入ったコマを作ればわかりやすいです。上の表にある料理例を参考に、数字に色を塗っていきましょう。

   

 それでは、具体的に見ていきますね。
 


 コマの一番上の段。これらは3つの食品群の黄色に分類されるもので、ご飯、パン、麺類が当てはまります。いわゆる”主食”ですね。1日の量は5〜7つが基本ですが、妊娠後期・授乳期の方はエネルギー必要量が増えるため、1つ分プラスしていきます。
 例えば、朝食に食パン1枚召し上がった場合、表より食パン1枚(6枚切り)=1つ分とあるので、コマの主食の欄に1を塗ります。昼食におにぎり1個(ご飯100g)を召し上がった場合は、こちらも1つとして数えますので、続けて主食の欄に1を足していきます。これで、主食が2まで塗れたことになりますね。このように、食べたものがいくつかを見ながら、数字を塗っていくのです。

  


 二番目の段。こちらは3つの食品群の緑色に分類されるもので、野菜やきのこ、海藻類を使った料理”副菜”が当てはまります。1日量は5〜6つですが、妊娠中期、授乳期ではビタミンやミネラルの必要量が増えるため、数字を1プラスします。
 生のサラダは手のひら2枚分、和え物は手をグーにした大きさの量で1つ分と数えます。汁物も、中に沢山の野菜が入っていれば立派な副菜です。ただ、根菜類が入る煮物や野菜炒めなどは、重量がありカロリーも高くなるので、2つ分として数えます。

 


 三番目の段。こちらは3つの食品群の赤色に分類されるもので、肉や魚、卵や大豆の料理”主菜”が当てはまります。これらは3〜5つが基本ですが、妊娠中期と授乳期ではたんぱく質やビタミンB群の必要量が増えるため、1をプラスします。
 卵1個を使う料理は1つ分、魚は1切れで2つ分。肉料理は1人前で3つ分にもなります。肉料理がお好きな方は、数字が飛び出てコマが偏る傾向があるので、注意が必要です。

 


 一番下の左側。牛乳、乳製品は、3つの食品群でいう赤色に当てはまります。一日量は基本的に2つ分ですが、妊娠後期・授乳期では必要量が増えるため、1つプラスします。
 カルシウム100mg相当の食品を1つと数えるので、牛乳1本分(200ml)は2つ、ヨーグルト1パックやチーズ1かけも1つとして数えます。

 


 一番下の右側。果物は、3つの食品群でいう緑色に当てはまります。一日量は2つ分ですが、妊娠中期と後期、授乳期ではビタミンCやカリウム、食物繊維を増やすために1をプラスします。特にビタミンCは鉄分の吸収を高めるので、貧血になりやすいこの時期には、鉄分の多い食品と共に積極的に摂りましょう。
 みかんなどの小さいものは1個で1つ分。りんごや梨など大きいものは、半分で1つ分と数えていきます。100%果汁ジュースは、半分程度の量に換算して1つと数えます。

 このように、1日の食べる量は『食事バランスガイド』に沿って、簡単にコントロールできてしまうのです。あまり難しく、細かく考えるとやりにくいので、目量り・手量りの大体の分量でやってみてください。

 ここで注意したい点は、食事だけを気を付ければ良いというわけではないこと。健康維持のためには、運動も大切です。食事バランスガイドをよく見ると、コマの真ん中に人が走っている絵があります。運動することで、コマが安定して回転することを表現しているのです。軽い運動(ウォーキングやストレッチ)は、血の巡りをよくしたり便秘の改善にも繋がるので、体に異常がなければぜひ習慣的にやってみてください。水分をしっかり摂ることも重要ですよ。


 最後に、おやつについてです。「妊娠してから甘いものが欲しくなってきた。」「授乳をするとお腹が減るので、お菓子を食べてしまう。」など、おやつを召し上がる方は多いと思います。健康な方でしたら、1日200kcal程度に抑えて召し上がれば問題ありません。生活の楽しみとして、心と体を休めることも大切。食事バランスガイドでも、コマを回す為の「ヒモ」として表現しています。


 今日の朝食は、何をどれだけ召し上がりましたか?
 まずは食べたものを記入し、数字をコマに当てはめていくことから始めてみてください。何が不足して、何が過剰しているかが見えてきますよ!