妊娠中の栄養 〜3つの食品について〜

 こんにちは。管理栄養士の横道友理子です。
 新緑の季節となり、涼しい風は初夏を思わせます。今は薔薇が満開を迎え、アルテミスの正面玄関でもピンクの薔薇が、皆様をお出迎えしています。
 

 さて、今回は『妊娠中の栄養』についてお話します。
 元気な赤ちゃんを産むため、お母さんはしっかり栄養を摂ることが大切です。とは言え、情報が氾濫している今では何を信じて良いのかわかりませんね。「食べちゃいけないものは?」「食べた方が良いものって?」「アレルギーとか心配だけど・・・。」等々、赤ちゃんのことを思えば思う程、不安要素が出てくると思います。
 そこで、皆様が安心して楽しいマタニティライフをお過ごしいただけるよう、こちらのブログで栄養についてお話しますので、ぜひご覧ください。
 
 本日は、第一回目として『3つの食品』についてです。


 食品にはそれぞれ機能があり、大きく分けて3つに分類されます。
 まず一つ目は、黄色の群。エネルギーのもとになる栄養素として炭水化物と脂質を主に含み、お米やパン、麺類、油、砂糖などがこの群の仲間です。

 これらの食品は、運動したり頭を使う時に必要とされ、不足すると体力低下を招きます。妊娠中では、炭水化物が不足することで赤ちゃんの成長を妨げたり、将来的にお子さまが肥満体質になる可能性があるので、しっかり摂取していただきたいです。今では低糖質ダイエットなど流行っておりますが、妊娠中におすすめは出来ませんね。
 油に関しては、取り過ぎは肥満を招きますが、不足すると肌が乾燥したり、脂溶性ビタミン(A,D,E,K)の吸収がしにくくなります。また、DHA(ドコサヘキサエン酸)、EPA(エイコタペンタエン酸)は必須脂肪酸とも呼ばれ、私達が生きていく上で欠かせない脂肪酸です。赤ちゃんの脳の発達に良い影響を与え、アレルギーを緩和させる効果があります。血液をサラサラにする働きもあるので、妊娠中に生じやすい血栓を予防できると言われています。また、油は味をまろやかにさせるので、塩分を控えられるという利点があります。取り過ぎは良くないけれど、健康維持のためには大切な栄養素です。
 
 二つ目は、赤色の群です。血や肉を作る働きをもつ栄養素として、たんぱく質や鉄分を主に含み、肉や魚、卵、大豆製品、乳製品が当てはまります。

 不足すると貧血が生じたり、筋肉が減って代謝が落ちやすくなるので、太る原因に繋がります。妊娠中は、お腹の赤ちゃんの発育により必要量が増えますし、出産に伴う出血で貧血を起こしやすいので、しっかり摂っていただきたいです。お肉や魚、卵といった動物性たんぱく質、大豆製品などの植物性たんぱく質をバランスよく摂ることで、エネルギーの過不足が生じず、同時にカルシウムや鉄分も上手に取り入れられます。

 三つ目は、緑の群です。体の機能を調整する働きをもつ栄養素として、ビタミン、ミネラル、食物繊維を主に含み、野菜や果物が当てはまります。

 食物繊維は、血中のコレステロールや脂質をふろしきのように包み込み、体内への吸収を抑える他、食後の血糖値上昇を緩やかにします。ビタミンは、炭水化物や脂質、たんぱく質を体の中で効率よく利用できるよう助けてくれるので、毎食摂ることが理想です。野菜不足が続くと便秘にもなりやすいので、ぜひ意識的に摂ってくださいね。

 このように食品は、その働きによって3つに分類されることがわかりましたね。
 「どうしても時間がなくて・・・。」「料理はあまりしないから・・・。」など、色々な理由をお持ちの方もいらっしゃるかと思いますが、無理をしない程度に、少しでも意識して召し上がっていただければと思います。
 ここで注意したい点は、手軽にエネルギーを摂ろうと黄色の群のみになってしまったり、たんぱく質をしっかり摂ろうと赤の群を食べ過ぎたり、ダイエットをしたいが為に緑の群ばかりになるという、偏った食べ方はしてはいけないということです。食事の中で、黄、赤、緑の3つが揃うことでエネルギーとして上手く働き、栄養素を効率よく利用できます。
 例えば時間のない朝でも、パンにジャムを塗るのではなくスライスチーズを乗せて焼いたり、ご飯にふりかけではなく鮭フレークにしてみたりと、ほんのちょっとの工夫で色が1つから2つに増えます。

 このように、食品の組み合わせを少し変えるだけでバランスの良い食事が成り立つわけですが、”実際にどのくらい食べたら良いのか”と言うのは分かりにくいもの。そこで、次回は”何をどれだけ食べたら良いのか”というテーマで『食事バランスガイド』を使ってお話しますので、ぜひこちらもお読みいただければと思います。