秋のお月見御膳

 こんにちは。管理栄養士の横道友理子です。夏の暑さはどこかへ行ってしまったかのように、秋のすっきりした空気が気持ちいいですね。
 今月15日は、イベント食「秋のお月見御膳」を提供します。涼しげな秋の風情を感じさせる上品な味わいを、ぜひご堪能ください。


『秋のお月見御膳』


◇ご飯  炊き込みご飯 紅葉

 まるで、紅葉がひらひらと舞い降りてきたように彩り豊かなご飯は、昆布だしで炊き込んでいます。人参、さつま芋、冬瓜のそれぞれを一度だしで煮ることで、人参はしっかりした甘さ、さつま芋のホクホク感、冬瓜のみずみずしさ等、野菜本来の美味しさと食感を最大限に引き出しています。
 紅葉の下には、落ち葉をイメージしたきのことぜんまいが広がります。ご飯にほんのり味が浸みて、風味豊かに仕上がりました。たっぷりな野菜ときのこは、ビタミンや食物繊維が豊富なので、整腸作用や美肌にも効果的です。


◇吸い物 清汁 月見

 昆布だしを効かせたすまし汁には、まん丸お月様をイメージした白玉団子が一つ。黄卵でうっすら色づけし、中には細かく刻まれた銀杏が入っています。一口で食べてしまうのが勿体ないくらい、ふんわりとろけるお餅です。
 汁にゆらりと浮かぶのは、笹がきにしたごぼうです。薄くて長いごぼうは、月にかかる雲を描いています。一見柔らかそうに見えますが、シャキシャキと歯ごたえがしっかりあり、昆布の味がしみ込んだ上品な味わいです。


◇焼き物 カレイのインカのめざめ包み焼き〜和風アメリカンソース〜

 ふっくら焼き上がったカレイに包まれるのは、幻の芋とも呼ばれる「インカのめざめ」をマッシュしたもの。産地の北海道でさえ収穫が少なく、手に入るのが難しい大変貴重な芋です。また、普通の芋より糖度が高めで、栗かさつまいものような風味、ねっとりした食感が特徴的です。鮮やかな黄色は、アルテミスマークの月を思わせますね。
 ソースは、アメリケーヌソースに練り胡麻、醤油、豆乳を加えて和風に仕上げました。アメリケーヌソースは、オマール海老の殻を香味野菜で炒め、魚のだしと海老味噌を加え、生クリームでのばしたものです。甲殻類独特の旨みに練り胡麻、豆乳が合わさることで、コクのあるシェフ特製アメリカンソースに仕上がりました。インカのめざめとカレイに絡めると、甘さにコクがプラスされ、より美味しくお召し上がりいただけます。


◇海老真丈茶巾 

 油揚げの中にふわふわの海老真丈を入れ、かんぴょうで一つ一つ丁寧に結びました。柔らかく煮た油揚げを頬ばると、海老真丈の旨みが、優しいかつおだしのつゆと共にじゅわっと出てきます。中には小さなお餅も入っていて、ちょっぴり贅沢な気分です。お月見団子がこんなところに隠れているなんて、食べる楽しさがありますね。付け合わせには、小松菜、椎茸、紅芯大根で彩りも綺麗に仕上げました。煮物の赤といえばどうしても人参になりがちですが、紅芯大根は口当たりもよく、鮮やかな色は美味しさを引き立てます。
 

◇和え物 茄子とホタテのレモン塩和え

 焼き茄子、ベビーホタテ、トマトを今話題のレモン塩で和えました。レモン塩は、その名の通りレモンを塩で漬けこみ、発酵させたもの。塩味と酸味のコラボレーションが絶妙で、さっぱりとした新鮮な味わいです。隠し味にはセルフィーユを加え、味にアクセントを出しました。3種の彩りや風味、それぞれの食感も楽しく、洋風にアレンジされたお洒落な和え物です。


 こちらは、今回の和え物で使用したシェフ手作りのレモン塩。1ヶ月ほど前から漬けてあるので、レモン塩エキスはたっぷりです。発酵すると塩の味が濃く感じ、レモンの酸っぱさが緩和されるので、食材の味が引きたちます。また、発酵の過程で生まれた乳酸菌は、整腸作用があり便通をよくします。レモン由来のクエン酸は、糖質の代謝や脂肪の燃焼をよくしますので、ダイエットに効果的です。又、むくみの改善にもなりますので、妊婦さんや産後の方にはおすすめですね。


◇デザート 杏子のムース

 牛乳に7分立てにした生クリーム、溶かした杏子ジャムを混ぜて冷やし固めました。
 ぷるんとしてなめらかなムースは、牛乳と生クリームの濃厚な味と杏子ジャムの甘さがとてもマッチしています。上には、白ワインでじっくり煮込んだ乾燥杏子をトッピング。口に含むとジャムのように柔らかく、それでいて杏子の食感もしっかり残っているのが特徴です。
 ミントの爽やかな香りで、食後にぴったりなデザートです。